TSMCに出資した台湾の政府系ファンド、バイオに100億台湾ドルの投資枠:外国製薬企業と投資家にとっての好材料

台湾学
著者:林宏文
TSMCに出資した台湾の政府系ファンド、バイオに100億台湾ドルの投資枠:外国製薬企業と投資家にとっての好材料

台湾の衛生福利部は、医薬品の承認審査、公的医療保険の償還価格の決定、そして投資資金の供給という三つ の政策手段を併せ持つ。他国の保健当局ではあまり見られない組み合わせだ。外国製薬企業は、政府が単一の保険者として運営する台湾の全民健康保険を通じて保険償還を得ることができ、一部の外国機関は、国家発展基金の共同投資パートナーとしての参加を申請し、政府とともに台湾のバイオ企業に投資できる。

世界最大の半導体受託製造企業であるTSMCが1987年に設立されたとき、台湾政府の開発基金が設立時の資本金の48.3%を出資した。開発基金は2006年に別の政府基金と統合されて国家発展基金となり、国発基金と略されるこの政府系投資ファンドは、現在もTSMC株の約6.37%を保有している。2026年、国発基金は台湾のバイオ・医療産業向けに100億台湾ドル(2026年9月22日のレートで約3億1,500万米ドル)の投資枠を設けた。期間10年のプログラムである。

この投資を推進しているのは、台湾の衛生福利部(衛福部)である。衛福部は医療・衛生行政を所管するだけでなく、台湾の人々が法律によって加入を義務づけられ、政府が単一の保険者として運営する全民健康保険(全民健保)も管理している。石崇良(Shih Chung-liang)衛生福利部長は、衛福部が手にする資源を、衛福部版の「両兆双星」(「二つの兆と二つの星」の意)と呼んでいる。

2026年9月中旬、私は私立の台北医学大学が開いたバイオテクノロジーEMBAの10周年行事に参加した。そこで石部長が、全民健保による新薬の保険償還、バイオ産業への支援、そして100億台湾ドル規模のがん新薬基金について語ったことが、これらの政策と台湾バイオ産業の発展との関係を考えるきっかけになった。

招かれた石部長は、台湾大学の附属病院である台大病院の救急医の出身である。2008年、当時の行政院衛生署長で、台大病院の院長も務めた恩師の林芳郁(Lin Fang-yue)氏に招かれ、衛福部の前身である衛生署に入った。その後、医事処長、医事司長、衛福部次長、全民健保を運営する中央健康保険署(健保署)の署長を経て、衛福部長に就いた。臨床と行政の両面で豊富な経験を持ち、医療界、公衆衛生の専門家、市民団体のいずれからも前向きな期待を寄せられている、近年では数少ない衛福部長である。

2002年、台湾は半導体とバイオを並べて育成した:石衛福部長が当時の「両兆双星」という政策名を借用

石部長はさらに、自らが部内で進める政策は、すでに「両兆双星」になりつつあるとたとえた。「両兆」は、1兆台湾ドル近く(約315億米ドル)に達する全民健保の総額と、衛福部のその他の政府予算と所管基金を合わせた約1兆台湾ドルを指す。「双星」の一つは、国発基金と組んで確保した100億台湾ドルで、有望な台湾バイオ企業への投資に充てる。もう一つの100億台湾ドルが、がん新薬基金である。

この表現に、私は強く興味を引かれた。石部長の表現は、2002年に台湾政府が打ち出した6年計画「挑戦2008:国家発展重点計画」の中の「両兆双星」政策から借りたものだ。元の「両兆」は、半導体と映像ディスプレイ(パネル)という、それぞれ生産額1兆台湾ドル超えを目標とした二つの産業を指し、「双星」はデジタルコンテンツとバイオテクノロジーという二つの「明日の星」を指していた。

つまり石崇良氏のたとえは、衛福部が抱える資源の規模を示すと同時に、衛福部が単なる支出官庁から、産業政策も担う官庁へと転じようとしていることを示唆している。しかも元の「双星」の一つがもともとバイオなのだから、この場面にはとりわけふさわしいたとえだ。

石崇良氏のたとえにとくに興味を引かれたのは、私がかつて電子・半導体産業を取材していた頃、両兆双星が非常に重要な産業政策だったからである。ここでいう「両兆」は、DRAMを含む半導体とパネルだった。その後DRAMとパネルの産業は大きな試練に直面したが、いま振り返れば、半導体産業はTSMCのファウンドリー事業に牽引されて大きな成功を収め、とうに1兆台湾ドル産業の域を超えて、6.5兆台湾ドル(約2,050億米ドル)産業になっている(2025年の生産額)。パネル産業は苦戦を強いられた。最盛期には生産額1兆台湾ドルを記録したが、数年の調整を経て、いまは明らかに光通信産業へと転換している。

だからこそ、台湾が電子・半導体の発展の道筋を手本に、バイオ産業も育てられるのかどうかは、大いに注目すべき問いである。

台湾の龔明鑫(Kung Ming-hsin)経済部長は2025年12月、台湾バイオ産業の2024年の売上高は約7,754億台湾ドル(約245億米ドル)で、前年比2.32%増にとどまった一方、バイオ関連株の時価総額は1.6兆台湾ドル(約505億米ドル)と、売上高の約2倍に達していると公の場で指摘した。龔氏は生産額と時価総額の開きを「いつも大きく離れている」と表現し、バイオ企業に対して事業規模を拡大し、実際の生産額を高めるよう呼びかけた。大まかに比べると、台湾バイオ産業の2024年の売上高は、半導体産業の2025年の生産額のおよそ8分の1にすぎない。

私も資料を調べてみた。石部長の言う「両兆」のうち、全民健保の経費は確かに1兆台湾ドル近くに達している。2026年度の健保総額、つまり全民健保が1年間に支払う医療給付の総予算は約9,883億台湾ドル(約312億米ドル)で、2027年度の伸び率は2.619%〜5.5%とされ、総額は初めて1兆台湾ドルを超える見通しだ。

衛福部の新たな手段:10年で100億台湾ドルのバイオ投資と、暫定的に償還してから通常償還の可否を再評価するがん新薬基金

「双星」の二つの100億台湾ドルのうち、一つ目は国発基金がバイオ投資に充てる100億台湾ドルで、2026年に始まったばかりの新しい政策である。新薬開発などに取り組む台湾のスタートアップを支え、新薬や医療機器の開発を加速させることを目的とする。国発基金管理会は2026年8月4日に台湾のバイオ医療産業への投資実施計画を承認し、今後10年で100億台湾ドルの投資枠を設けた。最初の7年が投資期間、残る3年が投資先株式の処分期間である。衛福部は8月末に作業要点(実施要領)を公表し、同計画を正式に発表した。

二つ目の100億台湾ドルは、がん新薬基金である。ただし、この100億台湾ドルは累積の考え方で、毎年100億台湾ドルがあるわけではない。年ごとに予算を積み上げる仕組みで、2025年に50億台湾ドル(約1億5,800万米ドル)、2026年にさらに50億台湾ドルを計上し、累計で100億台湾ドルを投じる。

2023年以降の台湾全民健保の償還:1回4,900万台湾ドルの遺伝子治療から、約105万人が恩恵を受ける脂質低下薬まで

石崇良氏は2025年9月1日に衛福部長に就任し、それ以前の2023年2月から2025年8月までは健保署長を務めた。2008年に医事処長として歩み始めてから多くの政策や法規の策定に関わってきたため、企業関係者が面会して規制の話をすると、石部長はどの条文に基づくものかをすぐに指摘できる。それらの条文の多くは、当時彼自身が手がけたものだからだ。

台湾の全民健保が近年どのような新薬の償還を認めてきたかを見るには、石崇良氏が健保署長と衛福部長を務めたこの3年余りの間に、全民健保が下した主要な償還決定を見ればよい。

石崇良氏は感慨を込めてこうも語った。子どもは国の未来だと誰もが言うが、子どもが希少疾患にかかった家庭の多くは高額な医療費を払えず、国はそうした家庭を支えられていない。それは間違っている、と。

そのため、重い病気の子どもたちに対し、全民健保はいまでは治療に必要なCAR-T細胞療法を償還しており、治療費は1人あたり800万台湾ドル(約25万2,000米ドル)を超える。さらに小児がんの陽子線治療も償還の対象となり、最高区分の償還額は健保点数で126万点、脳のがんなどの子どもの治療に用いられる。こうした患者は年に約100人で、費用は合計約1億台湾ドル(約320万米ドル)にのぼる。健保の財源は確かに厳しいが、お金がなければ解決策を探す、と石氏は言う。

たとえば、近年台湾で注目を集めた償還決定、すなわち1回4,900万台湾ドル(約150万米ドル)の希少疾患・脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝子治療、SGLT2阻害薬の償還拡大、100億台湾ドル規模のがん新薬基金の開始は、いずれも石崇良氏の健保署長在任中のことである。

台北医学大学バイオテクノロジーEMBA同窓会からの寄贈を代表して受け取る石崇良衛生福利部長(中央)。台北医学大学の呉麦斯(Mai-Szu Wu)学長(右から3人目)、林建煌(Chien-Huang Lin)董事長(左から3人目)、台中栄民総医院の陳適安(Shih-Ann Chen)前院長(右端)、同大学バイオテクノロジーEMBA同窓会の陳冠志(Kuan-Chih Chen、音訳)理事長(左端)も出席した。
台北医学大学バイオテクノロジーEMBA同窓会からの寄贈を代表して受け取る石崇良衛生福利部長(中央)。台北医学大学の呉麦斯(Mai-Szu Wu)学長(右から3人目)、林建煌(Chien-Huang Lin)董事長(左から3人目)、台中栄民総医院の陳適安(Shih-Ann Chen)前院長(右端)、同大学バイオテクノロジーEMBA同窓会の陳冠志(Kuan-Chih Chen、音訳)理事長(左端)も出席した。

衛福部長に就任してからも、注目すべき点が三つある。2026年6月の希少疾患SMA治療薬の保険給付条件の大幅な緩和、2026年9月の、最も多くの人に影響する脂質低下薬の償還拡大、そして三つ目ががん新薬の償還であり、その背後で要となっているのが100億台湾ドル規模のがん新薬基金である。

このうち、2026年6月のSMA治療薬の保険給付条件の緩和では、健保署がSMAの経口薬リスジプラム(エブリスディ)のドライシロップ製剤について「治療開始年齢は生後2カ月超」という制限を撤廃し、新たな剤形であるフィルムコーティング錠も給付対象に加えた。対象には、すでに使用中の患者と新生児スクリーニングで診断された患者が含まれ、1人あたり年間566万〜622万台湾ドル(約17万9,000〜19万6,000米ドル)の薬剤費を節約できる。

2026年9月の脂質低下薬の償還拡大は、影響を受ける人数が最も多く、石氏の在任中で最大の受益者数となる見込みの施策だ。健保署は9つの医学会が共同で策定した「2025年台湾脂質管理臨床パス・コンセンサス」に基づき、アテローム性動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク区分ごとにLDL-Cの治療開始値と治療目標を定め、スタチン系、エゼチミブおよびその配合剤の償還規定を拡大した。約105万人が恩恵を受け、薬剤費として約22.8億台湾ドル(約7,200万米ドル)が投入される見込みである。

最後に、がん新薬の償還で最も重要な財源が、100億台湾ドル規模のがん新薬基金である。石氏の在任中、多くのがん治療薬が「暫定償還」の仕組みを通じて先行して償還され、その財源はがん新薬基金から出ている。同基金は2025年に50億台湾ドル、2026年にさらに50億台湾ドルが計上され、累計で100億台湾ドル規模に向かっている。

健保署はかつて、2025年の支出見込みは約20億台湾ドル(約6,300万米ドル)で、使い切れなかった分は基金に残して積み増すと説明している。また2026年7月、在台湾米国商工会議所(AmCham Taiwan)と米国在台協会(AIT)が共催したがんイノベーション・フォーラムで、石氏は100億台湾ドル規模のがん新薬基金を、台湾の医薬品償還を国際的な治療ガイドラインに追いつかせる代表的な政策として紹介した。

医薬品の承認審査、償還価格の決定、バイオ企業への投資を一手に:他国の保健当局では珍しい四つの長所

石崇良氏が打ち出したこの「両兆双星」政策について、私は全体として方向は正しいと考える。衛福部を、単に「お金を払う官庁」から、「投資」もする官庁へと変えようとしているからだ。これは台湾の衛福部がこれまで担ってきた役割の中では、ほとんど見られなかったことである。石氏の政策には、少なくとも次の四つの長所がある。

第一は、「支払者」と「投資者」の役割を結びつけたことだ。これまで台湾のバイオ企業が抱えてきた最大の悩みの一つは、研究開発に成功しても台湾の国内市場で売れず、十分な価格を確保しにくいことだった。衛福部は医薬品の承認審査、全民健保の償還価格の決定、資金による投資をすべて握っているため、理論上は「研究開発、承認取得、保険償還、上市」までの道筋を一本につなげることができる。

たとえば、国発基金による100億台湾ドルのバイオ・医療分野への投資計画は、規制面の支援と全民健保の資源を組み合わせ、承認を得た製品がサンドボックス試験を通じてリアルワールドデータを蓄積できるようにしている。衛福部は計画の説明の中で、サンドボックス試験で得たリアルワールドデータは、全民健保の正式な償還価格決定を強く裏づける根拠になると明記している。この三つの手段を同時に持つ保健当局は、他国ではあまり見られない。

第二は、バイオ企業が「死の谷」を乗り越えられるよう支えることだ。衛福部が指摘する問題は明確で、大学や研究機関の研究成果は、次の段階に進むための資金を確保できず、毒性試験や前臨床試験の段階で止まってしまうことが多い。国発基金の設計にも工夫がある。共同投資(マッチング投資)という形で民間資金を呼び込み、原則は1対1だが、トランスレーショナル・リサーチ、スマート医療機器のサンドボックス計画、再生医療、設立8年以内のスタートアップへの投資では、政府は民間の2倍まで出資でき、初期段階の研究開発や国の医薬品レジリエンスに沿う案件では3倍まで出資できる。民間投資家が自ら資金を投じる意思を示さなければならないため、政府が直接補助するよりも市場の規律が働く。

第三は、100億台湾ドル規模のがん新薬基金が、患者がより早く新薬を使えるようにしていることで、これは、現時点ですでに具体的な成果が表れている施策の一つである。開始から約7カ月後(2025年8月1日時点)で、恩恵を受けた患者は3,350人を超え、1人あたり平均約117万台湾ドル(約3万7,000米ドル)の自己負担を軽減できる。

この制度の価値は、通常の保険給付に移行するかどうかを判断するまでの「緩衝期間」を設ける点にある。医薬品の許可証を取得し、第3相臨床試験を終えていながら、全民健保の予算の制約でまだ収載されていないがん新薬は、まず基金による暫定償還を受けられる。期間は原則2〜3年で、その間にリアルワールドデータを集め、そのうえで通常の保険償還に組み入れるかどうかを決める。これにより、全民健保は最初から長期の償還を約束せずに済む。

第四は、産業政策にとどまらず、国家のレジリエンスと結びつけたことだ。衛福部はすでに118品目の重要医薬品を洗い出しており、その中には35種類の原薬が含まれる。世界の原薬供給が少数の国に集中している問題に対応するためである。国発基金の投資対象にも、国の医薬品レジリエンスに沿う重要技術とサプライチェーンが明記されている。これによりバイオ政策には「医療安全保障」という新たな正当性が加わる。台湾の人々はTSMCを、国を守る「護国神山」と呼ぶことが多いが、半導体に加えて、医療ももう一つの重要な護国神山だと言えるだろう。

台湾の政策が外国製薬企業と投資家にもたらす好材料:全民健保の償還ルートと、政府が民間の最大3倍まで出資する共同投資

外国製薬企業にとって、台湾のこの政策の最も直接的な価値は、医薬品が全民健保の償還対象に入るルートである。全民健保は政府が単一の保険者として運営しているため、健保署が一度償還を決定すれば、その償還条件は、臨床上の要件を満たす全国の被保険者すべてに適用される。近年全民健保が償還を認めた高額な新薬のいくつかは、いずれも多国籍製薬企業の製品だ。前述のCAR-T細胞療法と、1回4,900万台湾ドルのSMA遺伝子治療は、いずれもスイスの製薬企業ノバルティスの製品であり、2026年6月に償還条件が緩和されたSMAの経口薬リスジプラムは、スイスの製薬企業ロシュの製品である。

がん新薬には、もう一つのルートがある。医薬品の許可証を取得し、第3相臨床試験を終えていながら、全民健保の予算の制約でまだ収載されていないがん新薬は、がん新薬基金を通じてまず暫定償還を受け、その間に台湾でリアルワールドデータを蓄積して、後の再評価の根拠にできる。衛福部が2025年11月に立法院(台湾の国会)へ提出した報告によると、同基金は2025年に新薬7品目を給付対象に加え、既存薬の給付範囲を3件拡大した。2025年に使い切れなかった経費は基金に残り、2026年に新たに計上された50億台湾ドルと合わせて、2026年に使える経費は約70億〜80億台湾ドル(約2億2,100万〜2億5,200万米ドル)となる。

外国の投資家にとっての価値は、政府資金がリスクを分担することにある。前述の共同投資の比率に従えば、政府の出資は最大で民間投資額の3倍、つまり投資総額の4分の3に達する。本計画の専用口座の持株比率は、原則として投資先企業の払込資本金の20%を超えず、投資先企業の筆頭株主になることもできない。

参加には条件がある。衛福部が2026年8月に公表した作業要点によれば、アクセラレーター・プログラムを持つ外国企業は、台湾に会社を設立しなくても共同投資パートナーとしての参加を申請できるが、衛福部の選考を通過する必要がある。外国のベンチャーキャピタルは、まず台湾で会社か有限パートナーシップを設立しなければならない。1社への1回あたりの投資額は最大1億台湾ドル(約320万米ドル)、投資総額は原則1.5億台湾ドル(約470万米ドル)までである。

この投資上限は、1社にとって大きな金額ではない。政府と一緒に投資する価値は、政府がどのような政策資源を同時にもたらすかにかかっている。TSMCがその例だ。1987年の設立前後、TSMCが得た支援は一つではなかった。政府の開発基金が22億台湾ドルを出資した。政府の研究機関である工業技術研究院(ITRI)は、実験工場の建屋、設備、技術と98人の人員をTSMCに移管した。1985年には、当時の政務委員(無任所大臣)だった李国鼎(K.T. Li)氏が、後にTSMCを創業するモリス・チャン(張忠謀)氏に自ら同行してオランダのフィリップス本社を訪れ、フィリップスの出資につなげた。TSMCが立地する新竹サイエンスパークも、サイエンスパーク内の企業の新規投資に対する5年間の営利事業所得税の免除などの税制優遇を提供していた。

今回のバイオ・医療分野への投資計画も同じように、資金と政策資源を一体にしている。前述の規制面の支援、全民健保の償還価格の決定、サンドボックス試験である。

外国のバイオ企業も投資対象になりうる。投資先は台湾企業でもよく、海外で登記しながら主な事業を台湾で営む企業でもよい。ただし、台湾の法規で「陸資」(中国大陸資本)による対台湾投資事業に分類される企業は対象外である。研究開発や事業の拠点を台湾に置こうと考える外国バイオ企業にとって、国発基金は、出資を求めることができる資金源の一つである。

200億台湾ドルは衛福部の「両兆」の1%にすぎない:投資規模と制度的な裏づけのリスク

もちろん、石部長の政策にはいくつかの弱点とリスクもある。たとえば規模の不均衡は明らかだ。「両兆」は支出であり、「双星」の二つの100億台湾ドルを合わせても200億台湾ドル(約6億3,100万米ドル)で、「両兆」の1%にすぎない。しかも国発基金の100億台湾ドルは10年間のプログラム全体の枠で、投資に充てられるのは最初の7年だけである。7年で割っても、1年あたり約14億台湾ドル(約4,400万米ドル)にとどまる。がん新薬基金についても、政府が2026年度に計上したのは50億台湾ドルだけで、「100億台湾ドルのがん新薬基金」という公約と合わないと批判する立法委員(国会議員)がいる。さらに同基金は、毎年別枠で予算を計上する行政上の特別予算のままで、制度的な裏づけを欠いている。

それでも私は、石崇良氏が推進する「両兆双星」は、よい第一手だと考える。バイオ・医療産業の発展を、産業を所管する経済部だけの責任ではなくしたからだ。衛福部は全民健保を通じて、台湾で最大の医薬品と医療サービスの購入者である。その最大の購入者が、政策を立てる段階から産業の発展を政策立案の中心に据えること。それが、台湾のバイオ・医療産業の発展を加速させる第一歩である。

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